農業機械の自動運転
2025年11月14日
ここ数年続いている令和の米騒動は未だに続いている状況ですが、消費者が購入する米の価格はさらに上昇しており収束の目途がたつところにまでは達していません。編集人宅でも月間5kg程度の米を通販で購入していますが、これまで4,000円程度で購入していた福島県産米が今年度産は7,000円を超えている状況です。農林水産省も今回の一連の米不足に対して諸施策(生産拡大・備蓄米放出・関連法令変更など)を実施していますが、その中に大規模圃場に限られていた農業機械の自動運転について公道・農道を含める指針改定が含まれ実証実験が始まっています。
農業についてよく指摘されることに、日本の農業は諸外国に比べて経営規模が小さいことが挙げられます。そして高齢化問題や所得の少なさに加えて、省力化された農業技術が浸透しなければ更に人手不足により食料自給率が下がる懸念もあります。日本の国土は大規模農業経営に向いた土地が北海道などを除いて極端に少ないことが指摘されており、まずは道路運送法改正(自動運転装置)や監督官庁・警察への届け出方法の簡素化などが検討されています。また農機の共同購入などへの補助金政策が主体だったものが、このような形で転換された背景には自動運転技術向上が著しく進歩しているためだと思われます。
既に人手不足が著しい飲食業界では、自動発券機や配膳ロボットの導入が進んでいます。また運送業界でも一部高速道路に限定した隊列走行実験が始まっており、T2社には大手運送事業者も出資して自動化技術を後押ししています。ただしここには業界を問わず常に「規模の論理」と呼ばれる効率化の壁が立ちはだかっていることも事実です。あくまで編集人の私見に過ぎませんが、効率化が進むと人間同士の触れ合いが減るとの論調があります。実際に現場を必ず見てから仮説検証を進めてきた編集人にとって、今回の農機自動運転が新たな弊害をもたらさないのかという懸念が付き纏っています。



