オフィス鴻

航空機の機体整備

2025年12月24日

沖縄の那覇空港と言えば、最近は東南アジア諸国からの訪日客が多いことで知られています。今から10年程前には航空貨物便のハブ空港化に向け、国策として誘致していた時期もありました。しかしコロナ禍によって航空各社が様々な経営改善策を進める中で、日本に於ける機体整備事業(MRO)という航空機・エンジン・の整備・修理を、自社便以外にも適用することで収益性を高める動きが加速しています。一般的に航空機整備には日常的な点検に加えて、C整備と呼ばれる1~2年毎の整備や重整備と呼ばれる入念な点検が義務付けられていて、全て自社施設で行うと稼働効率に支障が出てしまいます。

民間航空機とは異なりますが、アメリカのF35ステルス戦闘機(ロッキード・マーティン社製)は、アジア太平洋地域では日本・オーストラリアでのMRO&Uでの重整備しか認められていません。その他にはイタリア・オランダなどアメリカと安全保障上の結びつきが強い国に重整備施設(MRO&U)設置されており、全てのF35購入国が自国で整備を行う訳にはいかないのが現状です。最近で大韓民国のF35重整備を巡ってアメリカ・オーストラリア・日本での重整備が検討されているとされていますが、未だに明確な結論が出されていないため同国内での運用に支障が出ているようです。

さてこのMRO事業は世界各国で運行されているジェット旅客機が2万機を超えている現在、そのマーケット規模は年間約15兆円に達する巨大産業になりつつあります。航空機整備には国際的な様々な基準に適合していることが要求されていますので、今後は台湾や香港等の航空会社から整備業務を受託できる可能性が高いとされています。一方で日本の航空機整備技術者の確保が懸念材料となっているものの、これだけ世界的な航空機需要の拡大が進んでいることを鑑みれば、整備品質を武器にした航空産業全体の裾野が拡がっていくであろうと想像している編集人です。