オフィス鴻

医師の報酬

2025年12月20日

FobusJapan「アメリカで最も稼ぐ医師たちの年収」では、上位15分野で3,000~6,000万円程度とあります。また日本では古い資料で恐縮ですが厚生労働省の第20回医療経済実態調査(平成26年度)平均年収が1,500万円程度とされており、開業医・勤務医の違いはあるにしても海外医との差は非常に大きいものがあります。これを統計的に処理した論文(出典は失念しました)では、アメリカが診察時間21分に対して11,000円、日本は同6分に対して720円となっていました。単純計算では10倍以上の開きがあることになります。

もちろん医療に関連する社会保障制度や諸物価・為替変動要因などがあるにしても、この資料が正しいとすれば最低賃金を下回っている可能性があります。そこには日本の国民皆保険制度によって質の高い医療が提供されていることの裏返しとして、アメリカは私的保険に加入していなければ医療すら受けられない方がいることも事実です。そのため3時間待ちの3分治療と揶揄される大学病院・大規模病院等での外来診療ですが、このようなデータを見れば多くの医療機関が手術・救急救命等の高い診療報酬診療を行わなければ、慢性的な赤字体質になってしまうことも理解できます。

更に医師の養成には多額の国費が導入され、私立医大であれば高い授業料が必要になるのも頷けます。編集人も特殊な難病治療のため大学病院での検査・手術・入院が欠かせませんが、外来時の3割負担(自己負担)分は220円ですから先述の720円というのも納得できます。医療機関とて継続的な経営が出来なければ国民が医療を受けられない現実が迫っている訳ですから、国家財政に於ける社会保障費削減の議論はこのあたりの事情を正確に伝える必要があると考えています。極論ですが外来診療報酬を今より高く設定することで、より良質の医療が提供されるとも感じますね。