丸亀製麺のAI評価
2025年12月10日
今年9月、丸亀製麺を運営するトリドールホールディングス社が、店長の年収を最大2,000万円に引き上げる人事制度を導入することを発表しました。現在の店長クラスの年収は約520万円程度と非常に低い水準にあり、編集人の周囲からも同社のサービスレベルがどんどん下がっているとの声も上がっています。最近流行りの人的資本経営を取り入れていると同社の経営方針説明会で代表取締役が「働く人の幸せを最優先にすることで商品・店舗に対する貢献意欲を上げ、顧客離れを防止する」旨の説明をしていましたが、裏を返せばそれだけ同社が企業存続に危機感を持っている表れでしょう。
発表によると同社の新人事制度は所謂グレード制によって店長の年収に差をつけるとされています。最も特徴的なのは生成AI技術を用いて従業員満足度を測定することや、売上高・来店客数・顧客満足度を調査してランク付けをする方式がどこまで有効に機能するのかに掛かっているでしょう。人事制度は作った時から確実に劣化していくものというのが多くの業界の常識になっており、実際に特に管理職が疲弊しているといわれる店舗運営にどれだけの効果があるのかは未知数です。今は事業利益が拡大傾向にありますが、少なくとも人件費上昇に見合うだけの利益戦略も必要になります。
そして飲食店チェーン店の最大の課題は日本国内消費低迷・従業員不足等による国内店舗拡大の限界と言われており、実際に多くのチェーン店では海外出店に力を入れています。しかし海外の商品は日本に比べて2~5割程度高く設定されており、商品構成も現地に合わせて開発されています。実際のところは不明ですが、飲食チェーンでは管理職の多くが能力に見合わない報酬に嫌気がさして退職すると、次席ランクが自動的に十分な教育・研修を受けないで配属され、また退職していく繰り返しが多いとされています。年収引き上げは評価されることですが、人事に心がなければ日本流サービスは劣化していく気がしますね。



