水害と都市インフラ
2025年12月25日
今年は東アジア地域で大きな水害が複数発生しました。日本では四日市市で9月12日に地下商業施設等に大量の雨水が流れ込み多くの車両が水に浸かり、また東京都世田谷区では9月11日に猛烈な雨に見舞われた影響で、一時多摩川水系(谷沢川)が氾濫したことで同じく商業施設に浸水被害が発生しています。その他にも大韓民国各地で山崩れや道路の流失、停電、鉄道のまひが相次ぎ、「空に穴が開いた」ような状態だったとされています。さらに中国南部の海南島・香港付近でも、いくつもの台風と線状降水帯が原因で深刻な災害を引き起こしていたとの情報があります。
その背景には地球温暖化や急激な都市化に起因する異常気象があるとされていますが、中国の場合には南水北調という長年の課題を解決するために長江で2009年に建設された三峡ダムが周辺の気象に影響を与えているとの有識者の指摘もあります。近年中国の発展を電力面を中心に支えてきた同ダムですが、貯水量が満杯(200m)に近づいたため緊急放流した結果、河川下流地域での被害を拡大したとも言われています。中国の場合はご存知の通り国家(共産党)による情報統制が厳重なため真実か否かを確かめる術はありませんが、いずれにせよ人命が危険にさらされたことは事実のようですね。
その原因として異常気象に堪えうるだけの都市インフラ整備が追い付いていないことが挙げられており、国土交通省の発表では鋳鉄管と呼ばれる合金製水道管が交換目安(大凡50~60年程度とされています)を過ぎており、最新式のダグタイル・ステンレス製への交換を急いでいるとのことでした。具体的には優先順位(幹線等)を付けて2035年度までに重要施設での交換作業を終える計画とのことですが、これは日本全体で見ても一部に過ぎないでしょう。また現業職員の減少・水道事業の採算割れ・諸物価高騰などにより多額の費用がかかりますから、新たな維持策が必要だと感じますね。



