オフィス鴻

第一生命の希望退職

2026年01月28日

日経ビジネスの記事に、生命保険大手の第一生命がホールディングス社が1,000名の希望退職者を募集したところ、同社の想定を超える1,800人が応募したとありました。生命保険会社と言えば高給が保証されている業界であるにもかかわらず、50歳以上・勤務期間15年以上の従業員に最大48か月分の割増退職金が支払われると言います。同社では「決して中高齢者層のリストラではない」と強調していますが、人事制度の変更や出向・転籍を余儀なくされる非保険事業(介護等)へのシフトを急激に進める経営姿勢に対して従業員が賛同しなかった結果とも言えるでしょう。

経営陣がどんなに美辞麗句を並べても残った従業員にとっては新たな事業計画に対する明確なコミットが必要ですから、同社が掲げる「働き続けたいと思える会社にしていく」というメッセージに対して一定数の従業員がNOと判断したと考えています。そして残った従業員で最大の価値を創造するということについては、結局のところ従業員への業務負荷が増すことに繋がり、去った従業員にとっても全員が社外で活躍できる保証はどこにもありません。一見聞こえの良いキャリアパス再形成についても、実際には企業内高齢化進行による人員構成・給与水準の偏り是正が本音でしょう。

実際に人手不足が課題になっている多くの日本企業でも、事務系・現業系職を中心にDX推進・生成AI技術導入が盛んに進められています。そして多くの希望退職者に再就職後に待ちうけているのは、書類選考落ち・給料ダウンといった非情な現実です。編集人も500人規模の希望退職を人事管掌役員として経験しましたが、当時の経営陣には従業員退職後の生活状況等までフォローする意図は全く感じられませんでした。現在は年功序列制度が機能していた昭和・平成初期とは異なる時代ですから、一時的な金銭に惑わされずにもし希望退職が実施された場合には慎重に検討して頂きたいと感じますね。