医療DX推進の盲点
2026年01月19日
昨年10月、サイバー攻撃を受けて多大な損害を被ったアサヒビールグループ各社に続き、ネット通販大手のASKUL(アスクル)社が同様のサイバー攻撃を受けました。同社は以前にも従業員による放火で大規模物流センター機能が壊滅的打撃を受けたことがあり、どこかにシステム管理に対する脆弱性が潜んでいたと思われます。同社がアサヒグループと決定的に異なる点は、様々な生活必需品の供給網が一時的にせよ停止してしまったことであり、オフィス用品以外にも医療備品の消毒液・手術器具・介護用品等を幅広く扱っていることで、医療・介護期間等にも影響が及んでいることです。
またアスクル者に商品配送業務の一部を委託しているとされる他大手通販企業にも影響が及んでいると報道されていますから、実際の損害額はかなりの規模になったことが想定されています。企業機密でもあることからシステム障害による情報開示は断片的にしか開示されておらず、今後も日本企業を標的にしたサイバー攻撃が実行される可能性は否定できません。編集人も30年以上前に当時の勤務先企業のシステム部門がシステム設計(要件定義)に失敗したことで約1か月間主要物流拠点が壊滅状態となり、他拠点からコストの高い出荷を行ったり人海戦術で出荷を続けた経験があります。
もちろん人為的なミスとサイバー攻撃は全く性質の異なる事象ですが、高度なシステム復旧には多くの時間と多額のコストがかかります。実際に前述の企業では、その後得意先企業の物流管理業務を受託したものの、当時の物流管掌経営幹部の判断ミス(まともなライン構築ができなかった)によって数十億単位の損害が発生したと聞いています。今回の事案は物流サービスそのものではないにしても、物流業界でのシステムが如何に重要な役割を果たしているのかを再度示唆した事例です。特に人命を預かる医療・介護業界に多大な影響を与えたことで、医療物流のあり方が再検討されると考えています。



