大学病院とDX(1)
2023年04月24日
編集人は初めて大病(自己免疫系疾患)を患いました。直近5年間で20回(昨年は救急搬送を含め7回入院)、大学病院で入院治療を受けたのですが、編集人と同じ疾患(特に症状、原因抗体、発症部位)は日本国内に数人程度確認されているだけの、極めて特殊な疾患との診断です。
さて、大学病院の役割は医師や看護師の養成、第3次救急や難病基礎研究・治験、外来診療など多岐にわたります。この4月から、時間外労働の上限規制が医師に適用されましたが、病棟担当医は診療科カンファレンス(入院患者の治療方針)外来診療、当直など、十分に休養する時間が本当にとれるのか心配になるほど多忙に見えます。また脳神経内科病棟には治療指示を守れない認知性患者も多いため、他病棟に比べて看護師の負担も重く、そこに退院を渋る患者・家族の存在などが加わり多くの機能不全が起きているように感じます。
また、医療事故を心配するほど多忙を極める医療関係者を見ていると、本来の役割が果せるような人的医療資源(医療・介護)の適正配置、タスクシェア(業務分担)やタスクシフト(業務移譲)による医療現場の新たなDXデザインが重要だと思われます。また、研修医関連の法令が改定され、激務・薄給といわれる大学病院での研修・臨床経験を選択しない医師が60%近くにも上るため、自治医科大学、防衛医科大学校等の一部の教育機関を除けば、医療を通じた社会貢献や新治療法の研究という目的より、多くの患者がいる大都市圏での勤務や、美容医療(保険外治療)など経営者としての活動を望む医師も増えており、政治と日本医師会等の関係、医療制度・社会保障制度等について多方面から見直す時期にあるのではないでしょうか。