調剤薬局の新たな役割
2024年02月03日
昨年6月に、マイナンバーカードシステム不備が原因で、コンビニ端末から他人の住民票が発行されるトラブルが発生しました。現在、システム構築を受託した富士通だけでなくデジタル庁や各自治体が対応にあたるなどしています。当初は住民票など最低限の個人情報(本人確認)に限られて使用されると言われていたこのシステムですが、保険証や免許証などと一体化されることが徐々に明らかにされてきました。編集人は、企業のシステム構築に参画した経験がありますが、ゴールが変わるのなら長期的にはシステム要件定義自体を一から作り直すことの検討も非常に重要な選択肢だと考えています。今更感は拭えませんが、次世代へのバトンタッチの面でも、この失敗を活かせるような行政・政治を進めてほしいと願っています。
さて、マイナ保険証、電子お薬手帳、電子処方箋の発行などが可能になったことで、オンライン診療・服薬指導などと共に今後普及が進みそうです。一方で、Amazonが街中の書店を一気に廃業に追い込んだように、調剤薬局(特に医療機関の傍にある門前薬局)もITデジタル化以外の付加価値がなければ、現在盛んなM&Aをもってしても競争原理から撤退を余儀なくされることも増えそうです。編集人の場合、特殊な薬の服用があるため自宅近くの比較的大きな調剤薬局を利用していますが、薬の種類・服薬量・変更が多く「かかりつけ薬剤師」さんに必ず確認をお願いしています。そのおかげで、処方箋に漏れていた薬があるときには、大学病院の主治医と連携してくれて翌日には自宅まで薬を届けてもらえます。
このかかりつけ薬剤師さんが寄り添ってくれるような良好な関係性が築けて以降、一患者として気軽に医療機関以外で相談する場所と機会が増えました。ただ、後発薬(ジェネリック)メーカーの不祥事などで薬剤の安定供給体制に不安定感があることや、デジタルに不慣れな高齢者等には使いづらいアプリ方式が主流であるなどの課題はあるにせよ、丁寧なコミュニケーションは、疾患の治癒・完解にも好影響があるように感じます。