オフィス鴻

外国人特定技能者(1)

2023年11月26日

難民申請・施設収容の長期化、旧技能実習制度など出入国残留管理庁(旧入国管理局)に関連する課題がマスコミで報道されています。日本国内で約300万人いる外国人への難民認定、永住権、在留資格認定を管轄する入管庁は、人道的強制送還を禁止した難民条約(ノン・ルフールマン原則)を仮放免扱いとしたり、名古屋入管での収容中の不法在留スリランカ人女性の長期収容と病死事件、クルド人難民の本国強制送還の一時的停止を目的とした難民申請の繰り返しなど、現状と法律が合わなくなってきている感があります。

「技能実習生制度」では一部の受入企業で発生した様々な問題(パワハラ・未払いなど)が指摘され、2022年に法務大臣が「本音と建前の歪な使い分けがあるとのの意見・指摘に正面から向き合う」という主旨の発言がありました。その結果、旧技能実習制度から新制度(2019年、業種による特定技能制度創設)へと再整備することで、長期間家族帯同で日本で働くことが現実的に可能となりました。実習生(34万人;経験が乏しい)から特定技能1号(14万人;最長5年間の単身在留が可能)、さらに特定技能2号(10人;更新回数に上限がなく、家族帯同や永住権取得も可能)へと移行するための国が実施する技能検定合格が条件となっています。

既に大卒専門職・技術職(技術・人文知識・国際業務)として48万人の高度人材が在留資格を持ち、非熟練労働者(実習生)もスキルアップを伴って日本で長く働けるようになれば、日本の魅力発信や労働技術力確保にもつながります。ただし、その代償として日本各地で起こり得る文化や生活習慣の違いによる勘違いやトラブル・犯罪など、マイナス面にも留意する必要があります。日本で育成した技能者が日本または帰国後に活躍してもらうには、同時に日本国民が外国人との「共生」を進める意識改革を必要としていると考えます。