オフィス鴻

Coffee Time (社外取締役)

2024年02月22日

コーポレートガバナンス等の観点から、さまざまな外部の視点から適切なアドバイスや企業経営のチェック機能を果たす社外取締役は、会社法改正(2014年、2021年再編)により要件の厳格化が行われ、上場企業は社外取締役を2人以上起用することが事実上義務化されました。また、競合関係・利益相反等の観点から大手法律事務所は所属する弁護士の派遣には消極的で、海外では就任を禁止している国もあります。また、定款にて社外取締役が負う責任の限度に関する契約締結について定めている企業もありますが、日本企業では国家公務員等の天下り先の1つとして専門分野の知見を活かした形で、限定的責任の範囲(損害賠償などの免責範囲が広い)で就任するケースや、名誉職的に知名度のある著名人を広告塔的な立場で迎えるケースも見られます。

日本で特徴的なのは、社外取締役の選任に際してグローバル基準での適任者が少ないこと、男女雇用均等法などによりコーポレートガバナンスに関する能力の有無よりも、形式上の要件を満たすことに重要性を置いていることです。簡単に言えば、ある程度有名な方や弁護士等で複数兼務されている方を奪い合うような構図に見えるのです。しかし、社外取締役とはいえ経営陣が株主利益を損ねる行動の監視、役員に関する利益相反関係事案の判断、非常時の経営執行責任など、取締役としての善管注意義務や競合避止義務以外にも複式帳簿(財務会計)への深い理解がなければ、経営陣に対して時には厳しい具申や意見を述べられるだけの力量が求められるのは当然のことでしょう。ただし、現在が過渡期にあるのだと考えれば、現在社外取締役として活動されている方々によって、今後の企業の成長性や方向性を左右することもあるように感じます。

最近は社外取締役の紹介エージェント会社もあり、グローバル化や男女雇用均等法などを意識して四国電力など著名な女性の社外取締役を選任する動きも活発なようです。しかし、やはり企業経営・事業内容・法律に精通した適任者を配置することが先決であるように感じます。