COFFEE TIME(債務の罠)
2025年11月16日
今年8月に日本(横浜)で開催された第9回アフリカ会議(TICAD9)では、アフリカが中国に経済的に依存し過ぎぎて主要インフラ等の運営権を手渡ざるを得ない「債務の罠」に警鐘を鳴らす共同文書(横浜宣言)が採択されました。実際にスリランカは中国から高金利で巨額資金を借り入れ、結果として債務不履行により主要港湾運営権を99年間分譲渡しています。またザンビアやガーナなども債務不履行状態に陥り、石油資源等を見返りに拠出する事態も発生しています。この問題点は高金利の過剰貸し付けに留まらず、地元住民の雇用が蔑ろにされているという指摘もあります。
さらにアメリカの関税政策や対外援助の停止が、アフリカの経済発展に悪影響を与え始めているとも言われています。ちなみに日本は「魚を与える」のではなく、相手国の継続的な経済成長を支える「魚の獲り方を教え、その加工技術・販売も支援する」とされてきましたが、直接投資残高はピーク時から25%減少した90億ドルに減少しています。その一方で人材育成・産業基盤整備・技術移転などを政策的に推し進めており、相手国のニーズに合わせた支援となっています。これは中国の巨大経済圏構想である一路一帯とは一線を画しており、欧米とも異なるアプローチを実践しています。
特筆すべきは日本がこの会議で共同議長を務めていたことでしょう。その中でもアフリカ諸国の一部は国内総生産(GDP)が成長軌道に乗っておらず、信用格付けの低さが足かせになっていると言われています。そこで日本はレアメタル・レアアース・人工知能(AI)技術者育成などによって得られる利益が、アフリカ諸国の経済発展に結び付くような行動を行っています。しかし、一部報道ではアフリカ諸国との関係性構築を懸念する意見も伝えられました。50年後にどのような形で引き継がれ、日本が行う世界に対する施策として評価・判断されるものと編集人は考えています。



