オフィス鴻

COFFEE TRIME(令和7年最低賃金)

2025年10月21日

厚生労働相の諮問機関である中央最低賃金審議会は、全国加重平均で今年10月からの最低賃金を63円(6.0%)引き上げることを答申しました。このが引き上げ額は現行方式では過去最大となっていましたが、最終的には全国加重平均で1,121円となりました。「令和7年度地域別最低賃金額改定の目安に関する公益委員見解」から抜粋すると、今年度は生活必需品を含む消費者物価の上昇が続き、賃金上昇率が昨年を上回る水準となっていることを重視するとともに、売上高経常利益率等の賃金支払能力に関する項目が改善傾向にあることなどから目安額を決めたとしています。

一方「労務費を含む価格転嫁の状況は改善傾向にあるものの、依然として二極分離の状態にあることや、倒産件数自体は足下で増加しているといった企業経営を取り巻く環境を踏まえれば、一部の中小企業・小規模事業者の賃金支払能力の点で厳しいものであると言わざるを得ない。また、都市部以外の地域では小規模事業者が地域生活を維持していくためのセーフティネットとしての役割を果たしているところもあり、従業員の処遇改善と企業の持続的発展との両立を図る観点への配慮も必要である。」としており、生産性向上支援金を始めとした政府の支援を強く求める形となりました。

編集人が最も気になっているのは、「いわゆる「年収の壁」への対応として「年収の壁・支援強化パッケージ」の活用を促進することを要望する」とされ、年間労働時間を調整する働き手への社会保障上の優遇が現存することです。これでは社会保障制度の継続性に対する議論と最低賃金の間に齟齬があることを認めている形になり、遅まきながら106万円の壁撤廃の方向性で議論が始まりました。そして最終的に政府は全国平均1,500円を目標に掲げていますが、従業員間の賃金公平性(能力基準)について経営者が判断する裁量が少なくなるためより物価が上昇しそうに思えますね。