敬老パスの功罪
2025年01月19日
自治体によってその仕組みは異なりますが、年間数千円程度で1年間公共交通機関(主にバス)に自由に乗れる敬老パス(名称は自治体ごとに決定)が発行されています。ここ1~2年で編集人の居住する政令指定都市の公共交通機関(市交通局・民間)に敬老パス専用のタッチパネルが設置されるようになりました。一部の声では、他人のパスや期限切れのパスを利用する高齢者が多く、その対策として多額の費用を掛けて設置していると聞きます。高齢者のマナーの悪さはこれまでもこのブログで触れてきましたが、決して高齢者全員が悪意を持った行動をしているのではないことは読者の方はご存知だと思われます。
敬老パス制度が普及され始めた1975年頃には約9百万人が敬老パスを利用していましたが、現在は約3.5百万人が利用しているといいます。当然、交通過疎地などでは自動車運転免許が無いと生活に支障をきたす方もおりますので、制度としては非常に良いものの自治体の負担額は増加し続けており、1人が1日に10回以上利用するようでは採算が取れないことも大いに考えられます。現在、一律料金を設定している公共バス料金は240円前後が多く、編集人の個人的考えでは「高齢者の外出を支援して健康を維持する制度」として非常に有効な反面、収益性の面では多額の税金が投入され民間企業努力だけでは成り立たないのが現実だと思われます。まして、先述のマナーの悪さが目立てば、税金を支払っていない高齢者もおり世代間格差の問題などにも波及しますので、例えば交通チケット制(1枚づつ切り離して使うなど)を再検討する時期にあるように思います。
内容は異なりますが、生活保護世帯向けの行政サービス(医療券・現金支給など)も同じ視点で考えれば、食品のクーポン制には賛成なのですが、一部には「生活保護者であることがバレる」という意見もあります。生活保護はあくまでも新たな生活基盤を確立するまでの一時的支援策ですから、勤労の義務・納税の義務を果たせないならば検討すべき様に思います。