オフィス鴻

海外の飲食店経営

2023年12月05日

昨日の続きになりますが、編集人の知人で飲食店のオーナーシェフに、イギリス(ロンドン)、フランス(パリ)などの繁華街では、飲食店(アルコールを提供を含む)を開くためのライセンスビジネス制が運用されており、消耗戦ともいえる過当競争を防止するための行政介入が行われていることを知りました。その営業権価格はストリートごとの店舗数や営業時間、火力の使用有無などにより、物件によっては数億円単位で取引されることもあるそうです。

その上で、日本の飲食業への新規参入と経営について話を聞く機会がありました。まず、日本では飲食業として営業許可証を受けるには出店場所を確保(所在地の証明)との契約、食品衛生法保健所の検査(食品衛生者の設置など)に合格することが条件で、イギリスに比べれば規制は緩いです。また、ワイン等(酒類)をテイクアウトするには酒販業免許が必要です。一方で、開業後も流行りの業態には新たな参入者が続き人気店と同様な料理やサービスを提供するため、すぐに過当競争状態となり、利用者に依る選別も厳しくなるようです。また、近くに酒類専門店や高級食料品店があれば、自宅で気軽に味わうこともできるので、常に新しいアイデアや他店では到底まねのできない食材の仕入れ・調理方法など研究しているそうです。

そのような日本での外食産業経営は、退職後に飲食店経営してみたい、この料理で勝負したいというレベルならば、本当に経営の基礎から学んでも利益の上がらない難しいビジネスのように思います。資金力のある大手外食産業は国内の需要飽和を見越して海外への出店が加速していますが、現地風にアレンジした料理・メニューを見れば単純にノウハウを展開するだけではスクラップ&ビルドの繰り返しとなるでしょう。人件費の高騰からミシュラン三ツ星店(リストランテノーマ)が閉鎖して新たな業態へと変身したように、また寿司職人がアメリカで大成功していると伝えられていますが、海外・国内問わず飲食業経営で利益を出すこは簡単ではないと感じます。