オフィス鴻

空飛ぶクルマの実用化

2023年09月29日

1909年から始まった「パリ航空ショー」といえば、大手航空機メーカーから新興企業まで様々な新技術が搭載された航空機が出展される伝統的な展示会です。6月の出展企業には、ボーイング、トヨタ自動車、スズキ、億航智能(イーハン)、日本電産、米新興ジョビー・アビエーションなど、業界の垣根を超えた多彩な企業が名を連ね、他社との協働を含めて開発成果を発表しています。今回は「空飛ぶクルマ」と呼ばれる「eVTOL(電動垂直離着陸が可能な機体)」や「オートパイロット(自動操縦機能)」などの新技術アイデアを加え、商業運航に必要な型式認証取得を目指す段階(2025年頃)まで開発が進んでいるとのことで、ドローンを含む世界市場は357億ドル(約5兆円)に達するとの予測もあるそうです。

VSTOL(Vertical/Short Takeoff and Landing)機はヘリコプターのように垂直離着陸ができ、かつ固定翼機のような高速巡航も可能な航空機です。滑走路がなくても離着陸ができ、高速で長距離を移動できることから、航空輸送の更なる移動時間短縮や空間利用の拡大をもたらす将来技術の1つとして期待されています(以上、JAXAHPより抜粋)。編集人は、1982年に勃発したフォークランド紛争(イギリス、アルゼンチン)で空母艦載機シーハリアー(垂直短距離離着陸機、2006年退役)がアルゼンチンの大型水上戦闘艦を撃沈したことを思い出しました。また、現在も続くロシア・ウクライナ紛争ではドローンが使用されています。

ただ、軍事技術の民生利用という点では、戦争に対する倫理感など、人類の英知に対する永遠の課題が残っていることも事実でしょう。今後、観光需要や救命救急での利用が普及のカギを握りそうですが、CO2対策(太陽光・水素エネルギーなど)、量産化によるコストダウン、航続距離、運用ルール(操縦士免許など)の法整備、規制緩和などクリアすべき課題は多く、まずは安全第一をベースに生活インフラとして取り入れられることを願っています。