オフィス鴻

農海産物の新たな拡販

2024年01月24日

和歌山県に旬の食材を生産者が中間流通業者を介せずに直接販売所に納入して、生産者同士が同じ食材の販売を競い合う「野田方式」という取り組みが注目を集めています。これまでの一般的な量販店(チェーン店舗)や産直所とは一線を画した取り組みの背景には農業・漁業従事者の所得向上(粗利16百万円以上)という目的があり、大手メーカー商品を取り扱わないことで地元ならではの食材を拡販することにあるそうです。各生産者は全ての店舗に納入する必要は無く、近畿圏にある約30店舗に拠点間配送車両を配置して商品を納めることができるため、生産者はより良い商品を消費者に提供することに集中できることから、農海産物の6次産業化と併せて首都圏等でも展開される可能性が十分あると思われます。

最近は大手飲食チェーンや小売業が特定の生産者と条件付きながら全量買い取りを前提とした生産者の所得補償や、小売業者等が卸市場での売れ残り商品を安値(卸売側は廃棄ロス削減で損切り販売)で仕入れて販売するなど様々な形態のビジネスモデルが展開されていますが、この野田方式は産直方式ともBtoCとも異なる新たな取り組みとして地域経済全体への波及効果という視点で見れば地産地消がもたらす地方再生の新たな一面を見たように思います。

また、2020年の改正種苗法によりイチゴ、シャインマスカット、デコポン、和牛等に見られた種子・遺伝子等の海外への違法な持ち出しが相次ぎ、その損害額は数百億円とも言われています。その対策として農業試験場が開発したものの未登録の品種について、アメリカ等で現地パートナーの商業生産を認め、日本への輸入を認める代わりに特許によるロイヤリティ収入を得る方向へと動き出しました。編集人宅でも20年以上前から徳島県佐那河内村でしか栽培されていない希少ないちご「さくらももいちご」、愛媛県農林水産研究所果樹研究センターで研究・開発された「紅まどんな(愛媛果試第28号)」などを取り寄せていましたが、最近は日本各地で新しい品種が誕生・流通しており技術力の高さを実感しています。