オフィス鴻

食料安全保障の必要性

2024年01月27日

日本の食料自給率(カロリーベース)は、1998年度統計から40%前後で推移しています。「食料自給力指標(農林水産省HPより抜粋)」では、農産物は農地・農業用水等の農業資源・農業技術・農業就業者、水産物は潜在的生産量・漁業就業者などを基に「我が国農林水産業が有する食料の潜在生産能力」を表したもので、現在の豊かな食生活も約2,400㌔カロリーと日本人が必要な摂取カロリー換算を10%ほど上回っていることで享受出来ているのです。

また、大手シンクタンク(三菱総研)は、今から約30年後(2050年)には、農業経営体数は84%減少、農業生産額も52%減少する予測であり、後継者不足、気候変動、世界的食糧不足などが更なる減少リスクとなり、強い農業経営体が求めらると指摘しています。ただし、日本国内の大規模耕作可能地(10㌶以上の大規模農家)は全体の5%に過ぎず、耕作放棄地を恣意的に増加させてきた中で、市町村の農業委員会は『農地等の利用の最適化(担い手への農地利用の集積・集約化、遊休農地の発生防止・解消、新規参入の促進)の推進』などの事務執行にあたり、既得権益(利権)や高齢化と排他的風土等の影響が指摘されています。

なお、生成AI、ICT、ドローン技術の進歩も、スマート農業(主に効率化)への活用が注目されていますが、費用対効果(機器等導入費用と農産物価格の収益性改善)の面を中心に全ての問題を解決できる訳ではありません。全く別の切り口として、循環型食料再生産システムにより家畜から昆虫食(コオロギ系)へとシフトする研究も進んでいますが、まずはフードロス削減と農業を魅力ある産業にしていくことから始め、日本人と食料課題について食料自給率の観点から既得権益を段階的に無くしていくことが先決かと思います。