オフィス鴻

タワマンの価値

2024年08月19日

当初は、土地の区分保有権に対する課税が安いとして人気のあったタワーマンション高層階の部屋ですが、首都圏の豪雨で都県境の多摩川が氾濫して武蔵小杉駅周辺に大きな傷跡を残したことを覚えている読者の方も多いでしょう。その後、固定資産税等の改定が行われましたが、次に大規模修繕費の不足が指摘される、賃借人のマナーの悪さなどが相次いで指摘されるようになりました。当然、資産価値の上昇を見込んだ投機的側面はあるにせよ、パワーカップル(共稼ぎで年収15百万円程度)であっても住宅ローン金利上昇や子育てによる一時的離職などが原因で支払いに困窮する方もいると聞き及びます。

編集人は固定金利が3%後半の頃に住宅金融公庫から35年融資を受け、繰り上げ返済等で27年で完済しましたが、当初の10年間くらいは元金はほとんど減らず利息だけ支払っているような状態でした。当時は年間返済額は年収の2割までと言われており、それなりに頭金を準備しておかないと複利計算で利息が加算されるため、35年でほぼ借入額の2倍程度になる計算でした。また、新居に引越すると調度品・カーテンを新調したくなりますので、その費用が100万円程度は軽くオーバーすることまで計算に含めていない方もいるようです。その他、管理費・修繕積立金等がローン返済額とは別にかかるため、子育てのピークに差し掛かると他の住民との関係を気にする方は私立に進学させるようです。現在は授業料無償化ですが、私学ではその他の費用(修学旅行・制服・施設維持費など)も高額になる傾向があることも念頭に置くべきでしょう。

なお、首都圏の新築マンション成約率は徐々に下がっているとの調査結果もあり、余程の先見の明が無いと売却したくてもローン残債が売却価格を下回るケース(いわゆる担保割れ状態)も出ているようです。編集人の近隣でも行政が急傾斜地危険地区に定めているような土地に、大規模マンションが建設されていますが3年経っても売れ残っている物件も少なくありません。一生の買い物ですから後悔しないようにしたいですね。