オフィス鴻

東京五輪跡地の再開発

2024年08月19日

2021年にコロナ禍で開催された東京オリンピックで選手の宿泊施設跡地の再開発タワーマンション「晴海フラッグ」は、地上50階建て、総戸数は1,455戸で、販売予定価格は最上階の部屋は3億5千万円台と最も高く、最低価格でも4.8千万円台だったそうです。その人気も平均倍率で70倍強、最高は250倍強という異例の人気だったそうですが、最近は別の意味で注目を集めていると言います。それは、完売にもかかわらず現在の居住者は3割程度とゴーストタウンのような状況にあると言います。

当然、これだけ大規模な再開発事業ですから1つの街を作り上げることを念頭に計画されたと思われますが、結局は分譲後の売却差益を求める投資家が購入したため、飲食店を始めとする商業施設は閑古鳥が鳴いている状態で撤退するのも時間の問題かもしれませんね。そうすれば、さらに住環境はマイナスのスパイラルとなることも想定できます。そもそも、最寄り駅(都営大江戸線勝どき駅)まで1km以上あり、バス路線も乗務員不足で採算が合わなければ減便対象となる可能性があります。また、中央区の中でも晴海地区は道路アクセスの悪さや混雑が常態化している地域であり、子育て世代を中心とした街づくり構想は目論見通りにはいかなかったように思います。オリンピック開催が決定した際には、レガシー(遺産)として残るような施設整備が進められましたが、コロナ禍の影響があったとはいえその後の汚職事件発覚(東京地裁では博報堂に2億円の罰金が科されました)など本当に評価されるのは数十年後かも知れません。

都心を一望できるという点では非常に希少物件であり、多額の税金が投入されたこと、オリンピック招致が商業化していることなどを考えれば、費用対効果ではマイナス面が顕著であるように思えます。最近の放映権料の高額化などで立候補地が徐々に減少してきています。単なるお祭りになってしまえばオリンピックの精神もどこかに行ってしまうことでしょう。