オフィス鴻

東南アジアの地下鉄

2024年07月26日

日本がODA(政府開発援助)で支援しているインドネシア(首都ジャカルタ)の地下鉄事業について延伸計画が進められていると6月の日本経済新聞が伝えていました。インドネシアの鉄道事業では、日本が企画した高速鉄道計画がとん挫(中国との政治面が大きく影響したと言われています)した経緯がありますが、首都ジャカルタの渋滞緩和には日本のトンネル掘削技術の高さ、安全運行面などの包括的な鉄道技術が欠かせないとの判断に至ったようです。現在運行しているMRT(都市高速鉄道)に対する評価の高さが受注に繋がったオールジャパン(官民共同)の成果でしょう。インドやカナダでも車両保守などを受注しており、定時運行率は99%を超えていると言います。

少々記憶が曖昧なのですが、日本製の地下鉄車両(東京メトロが使用していた物)は以前から東南アジアに輸出されており、その耐久性・安全性の高さなどから今でも現役で活躍しているそうです。日経新聞にも「鉄道事業と相乗効果のある都市開発事業を展開したい」と共同事業体(三井住友建設、清水建設、双日、阪急阪神不動産)やUR(都市再生機構)も検討しているとあり、東急グループがベトナムのハノイ近郊でバス運行などを含めたスマートシティー開発を既に進めています。編集人は約30年ほど前から年1~2回、東南アジア諸国を訪問してロジスティクスビジネスのヒントを探していた時期があり、少々感慨深いものがあります。

なお、平成時代を日本の失われた30年と表現されることも多いのですが、ただ日本全体が手をこまねいていたわけではなく各企業がそれぞれの強みを活かしながら、デフレ経済を乗り切り地道かつ着々と実力をつけていった証でしょう。ただ、人口増加率が東南アジアでも最も高いインドネシアですが、2050~60年頃にピークを迎えるという研究結果もあります。地政学的にも要衝となるマレー半島とスマトラ島に挟まれたマラッカ海峡がありますので、今後の両国関係が更に発展することを期待しています。