SDG’s(8)成長・雇用
2023年10月02日
17の目標の中で「働きがいも経済成長も」は、ILO(国際労働機関)が掲げる各国の実情に応じた「ディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい雇用)国別計画」の策定にあたり「働きがい」の定義と価値感が各国・各人で異なり、かつ曖昧であること、「持続的な経済成長」の実現には、必ず市場原理という経済性(環境問題と両立しうるのか)を伴う競争力が働くから最も難しい課題の1つだと考えています。
例えば、働きがいの1つが「生きていくのに必要な賃金を得られる社会の実現」だと定義すれば、各国の実情(すべての労働者の権利を保護することなど)と経済原理性との相反を意味するケースもあります。また、フェアトレード(公平・公正な貿易)を推進すれば、安価で購入できる商品(大量の農薬使用、安い労働力、自然破壊・健康被害など)の恩恵享受を、自身の生活の中に世界の人々が受け入れられる経済成長や合意形成を伴う形でなければ、求める生活水準から乖離することも十分にありうるわけです。
そうなると、目標1「貧困をなくそう」にある「治安の安定と国家自体が貧困の連鎖から抜け出す」には、若者に対する教育機会提供、適正賃金水準での雇用創出など、理論上の目標と課題解決実現性との間に価値観の差と経済合理性が密接に絡みその進捗を阻む一因となります。児童労働や人身売買(兵役強要、強制結婚など)は貧困の連鎖から生じるとの研究結果などからも、食品大手の森林破壊ゼロの一次サプライチェーン商材(肉、パーム油、大豆、砂糖など)調達、フェアトレード認証を受けた「MACHI café(マチカフェ)」など、一般消費者が購買行動を通じてSDGsの達成に寄与できる仕組みの理解・浸透が、現実的なスタートラインと言えるのではないでしょうか。